マサイとツエツエバエ  
 

サハラ砂漠以南には約1700万人の牧畜民が生活するといわれますが、その中でも有名な勇敢な人たちはマサイです。しかもこの現代に昔ながらの伝統生活を続けているのには驚きです。マサイ地域でツエツエバエ活動をして実感しました。マサイ男子は生れて数年後、名前をいただくと小動物(ヤギ羊)の群れを守りにサバンナに出ます。割礼を受ける時、指・眉毛ひとつ動かさず!痛みを示すとマサイ男子一生の恥!そしてモラン(戦士)になります。ここでライオンを殺さないと一人前の男性と認められない習慣は近隣に知られたところです。長い赤い髪の毛を剃って成年男子に、そして牛とともに尊敬される年寄りになる世代社会は今でも変わっていません。マサイの断髪(入社)式をマサイ語でエウノトといい、千名近い戦士が集まり、高さを競うジャンプを披露したり、行列行進したり、盛大に行うのです(86年度に撮影した儀式は大阪の民族博物館で見られます。写真は02年度の儀式)。

さて、サハラ砂漠以南のアメリカ合衆国にも匹敵する面積に吸血昆虫ツエツエバエ(写真左)が生息しています。刺されるとトリパノソーマという血液原虫に感染し、人間{眠り病}・家畜{ナガナ病}に発病します。 このツエツエバエはマサイの牧畜生活にも堪大な被害を与えています。この被害をなんとかくいとめられないかと、ツエツエバエをトラップ法で防ぐ活動を始めました。これまでツエツエハエ撲滅に空中殺虫剤散布や生息地森林伐採により環境破壊を起こしてきたからです。この活動の賛同・支援者により「アフリカと神戸俊平友の会」が設立されました。しかし15年以上のトラップ活動後、被害をどれほどくいとめたか効果がはっきりできないままに活動を休止しました。マサイの家畜もそこに住む野生動物も季節的移動し,トラップ設置域に罹患したまま帰ってくるため、感染・発生率、コントロール効果が表せません。これまで多大な支援を受けながら感謝と共に大変申し訳なく思っております。でもマサイの家畜診療は継続中です。写真はツエツエバエ用トラップ(毎日新聞社提供)を仕掛けているとろです。


春休みを利用して、ケニヤに来た獣医学部学生の感想文を掲載します。

「ナイロビからマジモトまでは赤茶色の土とまっすぐ続くけどでこぼこな道。マジモト村に着くとマサイが当たり前にマサイ式の生活をしていた。すごい!!私は本当にケニヤに来ているのだ。さらにすごいことにマサイの牛を診察する神戸先生の手伝いをさせていただくことができ、口蹄疫の牛を診ることができた。獣医師を目指す私にとって一生ものの経験になったと思う。村の子供たちは好奇心旺盛だ。世界で一番大きな町はどこか?日本はどんなところか?日本の製品はすばらしい、など話が途切れることがない。年頃の女の子は皆、おしゃれに気を使っている。外国人である私のファッションチェックは、頭の上から足の先、口の中と隅々まで行われた。特にストレートの髪の毛は注目を集め、触ってはため息の繰り返しであった。2週間は短かったけど、スラム・野生動物・マジモト村といろいろなケニヤを見ることができ、たくさんの人と出会う機会に恵まれた。忘れられないケニヤの旅になった。(写真は口蹄疫に感染したマサイの牛に聴診器を当てているところ。)」

05年3月 酪農学園獣医学部5年生 小口夏代 kumasan828@hotmail.com

   
 

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